僕は子供の頃、『秘密基地』が大好きでした。
学校の裏山や近所の空き地や神社など、小さな田舎町のあちこちに数多くの秘密基地をもっていたものでした。
とはいえ、特に何かしらの重要ミッションをこなす訳でもなく、漫画を読みながら駄菓子などを食べて、ただ漫然と過ごしていたように記憶しています。
ある日、近所の畑の近くの空き地に大量の木製電線ドラムが、まるで建造物のように積み重なって放置してあるのを見つけたときは狂喜乱舞したものでした。
チョーシにのった僕らはススキが生い茂るその空き地でちょっとした火事を起こしてしまい、その夜父親にそれはもうこっぴどく叱られたのも、今では苦い思い出として残っています。

高校を卒業して就職で名古屋へやってきて、僕は会社の寮生活を始めました。
2年目になって仕事や気持ちに余裕が出てきた頃、僕は快適な部屋作りをすることに興味を持ちはじめました。
部屋にぴっちりと絨毯を敷き詰めたり、近くの『遊べる本屋』ヴィレッジヴァンガードで買ったグッズやポスターを飾り付けたり。
僕は今でも、部屋には蛍光灯を設置せずクリップライトや電球をあちこちに配置した環境で生活していますが、それはこの頃に始めたスタイルです。
そういう自分好みの環境を整え、ドリップコーヒーを淹れてお気に入りのCDを聴きながら読書をする至福のひととき。今と何一つ変わっていません。

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シミが付いたフィルムをスキャンしたので画像が荒いですが、これは20歳当時に住んでいた独身寮の僕の部屋の写真です。1997年ごろではないかな?
購読していた『ロッキング・オン・ジャパン』の切り抜きやポストカードをコラージュ風に壁に貼り付けるあたり、20歳頃の僕の感性もなかなかのものではないでしょうか?
よく後輩達が遊びに来て「ノダさんの部屋ってセンスいいですよねー」と言われて、鼻を高くしながらコーヒーを振る舞っていたことを思い出します。

20代の半ばには寮を出て、賃貸マンションを契約して住み始めました。
その頃には、ホームセンターで板や木材を買ってきて手を加える、ということも始めました。
OSB合板に着色ニスを塗ってスチールラックの天板にしたり、1×4のホワイトウッドとレンガで簡単な棚を作ったり。

そして2005年の春、家具製造の町工場に就職して、家具職人の修行を始めることになります。

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現在住む古い借家にある家具は、無印良品のこたつ以外はすべて自作の家具です。
ほとんどのものはホームセンターで安くで購入できる建材などで作り、濃い茶系のツヤあり塗装を施しているので、決して小奇麗でオシャレな家具とは言えませんが、古い木造家屋と絶妙にマッチしていて、僕自身は常々とても満たされた気分で過ごしています。

そう、僕は40代になった今でも『秘密基地』に夢中なのです。

少年の頃、とっておきの場所で漫画読みながら駄菓子を食べていたように、今でも僕は好きなものに囲まれながらレコードを聴き、本を読み耽り、映画を楽しみ、コーヒーを啜っているのです。

昔と少し違うことといえば、木材を自由に加工して好みの大きさの便利な家具が作れるようになったこと。
工房で親方や先輩に叱り飛ばされながら何とか身につけた、僕の大事な両腕で。


あなたには『秘密基地』がありますか?

それを作るお手伝いを、ぜひとも僕にやらせていただきたい!と、常々思っています。